【Creative Camp】生活者の視点から見るポップアップ
【Creative Camp】生活者の視点から見るポップアップ
ポップアップは、短期間で新しい体験を提供し、ブランドや製品の認知度を高めるための効果的な手法として注目されています。一見すると単なる販売の場のように思えますが、実際には生活者にとって新たなブランドと出会う機会であり、日常とは異なる買い物の楽しさを提供する場でもあります。
ポップアップの特徴として「期間限定」「特別感」があり、これは生活者の興味を引きつける重要な要素となっています。「今しか手に入らない」「この場所でしか体験できない」といった希少性が、生活者の行動を後押しするのです。
本記事では、ポップアップが生活者の購買意欲や行動にどのように影響を与えるのかを、心理学的な視点から掘り下げていきます。
期間限定と希少性が生む生活者の心理
ポップアップの最大の特徴は「期間限定」や「場所限定」といった希少性です。この希少性の原理が、生活者の行動に大きな影響を与えています。
心理学の観点から、「手に入りにくいものほど価値を感じる」という希少性の効果が、消費者に「今しか手に入らない」「ここだけの体験を逃したくない」という心理を引き起こします。この心理的プレッシャーは、生活者に即決を促す要因となり、ポップアップでの購買行動を後押しします。
またポップアップは、「偶然の出会い」を生む場所でもあります。日常の買い物では目にしなかったブランドや商品を発見し、思わず手にとってしまうこともあるでしょう。
特に、オンラインショッピングが主流となっている現代において、「リアルな場」で商品と触れ合うことができる点は、購買の意思決定に大きく関わります。
ここでは、過去に開催された期間限定ポップアップの例をご紹介します。
ビリー・ジョエル来日&『ビリー・ザ・ベスト:ライヴ!』発売記念ポップアップがタワーレコード新宿店 にて期間限定開催!
タワーレコード新宿店にて開催されたビリー・ジョエルのポップ・アップ・ショップ『POP UP SHOP"BILLY THE SHOP"』。
世界で、そして日本で最も愛され続けているソングライター/メロディメイカーの 1 人にして唯一無二のピアノ・マン=ビリー・ジョエル。16年ぶりの来日公演に先駆けて半世紀におよぶ彼のキャリアを各年代の名演で一望できるライヴ版“ビリー・ザ・ベスト” 『ビリー・・ザ・ベスト:ライヴ!』をリリースするビリー・ジョエルのポップ・アップ・ショップ『POP UP SHOP"BILLY THE SHOP"』を開催しました。新宿店で開催する『POP UP SHOP"BILLY THE SHOP"』では、そんなビリー・ジョエルの歴史を振り返るアーティストフォトや、名曲「素顔のままで」の作曲時とレコーディング時に使用したエレクトリック・ピアノ Fender Rhodesをはじめとする貴重な品など現在はお目にかかれない多数の展示が行われました。アーティストのファンはもちろんのこと、店舗に偶然訪れた人の興味を誘うイベントだと言えますね。
生活者の心理が生むブランド認知と長期的効果
他にもポップアップを通じて生活者が得る体験は、一過性のものではありません。短期間で終わるからこそ、その場の雰囲気や商品を記憶に残しやすく、結果として長期的なブランド認知にもつながります。
特に、ポップアップが提供する「ここだけ」「今だけ」の体験は、「自分だけの特別な体験をしている」という満足感に繋がりブランドへの興味や愛着を深める要因となります。
この特別感が、ブランドを単なる商品提供者ではなく、生活者のライフスタイルを共にするパートナーとして認識させる効果を生み出します。
そして、ブランドが発信するエシカルなメッセージや社会貢献の取り組みが、生活者にとってブランドの価値を再認識するきっかけとなり、持続的な消費行動に影響を与える可能性もあります。
メッセージ性のあるユニークなポップアップの例をご紹介します。
お得に食べて、フードロス削減に貢献!バレンタインデー翌日から始まる”もうひとつのバレンタイン”「Valentine Shop 0215」東京ミッドタウン八重洲で開催!
東京ミッドタウン八重洲では、「季節商品のフードロス」の削減と周知啓発を目的とし、株式会社クラダシの事業に賛同し、2月15日(土)から、バレンタインに余ってしまったチョコレートに焦点を当てたイベント「Valentine Shop 0215」を開催しました。
2月14日のバレンタイン以降、バレンタイン限定のパッケージが施されたチョコレートは賞味期限内であっても需要が急激に落ちてしまいます。本イベントでは「私たちのバレンタインは2月15日から始まります。」をテーマに、これらのフードロスに焦点を当て、定価よりもお手頃な価格で気軽に食べて楽しめるPOPUPショップをオープン。さらに施設内の飲食店5店舗にて、サステナビリティに配慮した植物性のチョコレートを用いた限定メニューを販売。クラダシが実践する「身近な社会課題をイベントを通して新たな価値として発信・啓発する」というビジョンを元に開催されたポップアップ。
東京ミッドタウン八重洲へ立ち寄るお客様が、チョコレートを購入して、食べて、楽しみながら、「フードロス」という社会課題の解決に気軽に参加できる、この時期ならではのイベントになっていますね。
体験価値が生むエンゲージメント
また、ポップアップは、生活者に単なる買い物以上の「体験価値」を提供する場です。商品の展示だけでなく、試用体験やインタラクティブな要素を取り入れたポップアップは、生活者の興味を引きつけ、記憶に残る体験を生み出します。
例えば、ポップアップの魅力の一つは、生活者の五感に直接訴えかける点にあります。香り・音・触感・視覚的演出など、デジタルだけでは得られないリアルな体験が、ブランドや商品の記憶をより深く刻み込みます。こうした体験型のポップアップは、消費者に「このブランドは特別だ」という感覚を抱かせ、他の競合との差別化にもつながります。
ここでは、過去にPOPAPが体験設計・空間作りの支援を行ったポップアップ事例をご紹介します。
クラフトジンの製造を行うEthical Spiritsが渋谷スクランブルスクエアで初のポップアップを開催!
エシカル・スピリッツ株式会社は、「循環経済を可能にする蒸留プラットフォーム」をモットーに、日本酒造りの過程で廃棄されてきた酒粕を蒸留し、新時代のクラフトジンやウィスキーを生産する蒸留ベンチャー企業です。エシカル・ジンという商品の認知拡大とエシカル・スピリッツのブランディングを目的に初のポップアップイベントを開催する運びとなりました。
「それはまるで、飲む香水。」をテーマにしたジン「LAST」から、プロジェクトは始まり、2020年2月の創業よりエシカル・スピリッツは余剰となった酒粕・ビール・日本酒など、様々な素材をジンへと再生させてきました。そこには、あらゆる素材の隠れた才能を彩る「香り」が在りました。
会場ではラインナップの5種類のジンを手に取っていただけるだけでなく、「香り」を楽しむことができる体験ブースを用意いたしました。 売り上げだけでなく、エシカルの概念伝搬を目的に、嗅覚にアプローチする体験を設計することで、ターゲットを広げ認知獲得に繋がっています。香水瓶のような形をしたプロダクトを化粧品のように展示し、香りを嗅ぐ体験の様式を設計したことで、普段お酒を飲む人に限らず楽しんでいただくことができました。
こうした体験価値はSNSでの共有欲求とも結びつきます。ポップアップイベントで「写真映え」する空間やユニークな仕掛けを提供することで、生活者は自然とその体験をシェアしたいと感じるのです。こうしたSNS投稿はブランド認知度を高めるだけでなく、イベント自体の口コミ効果を生み、さらなる集客につながります。
限定商品やノベルティが購買行動を刺激
ポップアップでの限定商品や特別なノベルティは、生活者心理に働きかけるもう一つの重要な要素です。特に、ポップアップでしか手に入らない限定アイテムは、消費者に「ここで買わなければ手に入らない」という緊迫感を与え、購買行動を促進します。
さらに、ノベルティやプロモーションアイテムは、ブランドに対する親近感を高める役割を果たします。例えば、来場者に無料で提供される限定グッズや記念アイテムは、ブランド体験を生活者の記憶に残る形で提供し、帰宅後もブランドを思い出させる効果があります。これにより、短期間のイベントながらも消費者との長期的な関係構築が可能になります。
ポップアップは、期間限定の特別な空間を通じて、生活者の心理に直接働きかける効果的な手段です。希少性や限定感が購買意欲を刺激し、体験価値が生活者の記憶に残る特別な体験を提供します。また、ノベルティや限定商品の提供によって、ブランドへの親近感やロイヤリティを高めることが可能です。
こうした生活者の心理を理解することが、短期間のイベントでありながらも、ブランド認知や長期的な消費行動にポジティブな影響を与える結果につながっています。ポップアップイベントは、単なる販売促進の場を超え、ブランドと生活者が深くつながるための重要なプラットフォームであると言えるでしょう。
POPAPでは、ポップアップに関するご相談を承っています。
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