【Creative Camp】コミュニティ形成の視点から見るポップアップ

はじめに

近年、ポップアップイベントは単なる短期間の販売促進の場から、コミュニティを生み出し、深いつながりを築く場へと進化しています。特に、ブランドやクリエイターが生活者と直接交流し、共感を得ることが求められる時代において、ポップアップは「つながり消費」を生み出す重要な手法となっています。本記事では、コミュニティ形成の視点からポップアップを考察し、実際の事例を交えながらその可能性を探ります。

ポップアップが生み出す「つながり消費」

「つながり消費」とは、単に商品やサービスを購入するのではなく、そこに関わる人々とのつながりや共感を重視する消費行動のことを指します。SNSの普及により、生活者はブランドやクリエイターの価値観や背景に共感し、それを支持することで関係を深めるようになりました。ポップアップは、このような「つながり」を直接生み出す場として機能し、来場者に単なる購買以上の体験を提供します。

コミュニティを育むポップアップの事例

1. つながりを生み出す仕組みとしてのポップアップ

コミュニティを育むポップアップの事例を2つご紹介します。
ポップアップイベントは、共通の興味や価値観を持つ人々がリアルな場で集まり、つながる機会を提供します。一過性のイベントではなく、その後も続く関係性を築くための「場づくり」が重要です。

1日だけのイベントに限らず、コミュニティスペースとして運営しているところもあるので、ぜひ足を運んでみるのもおすすめです。

●日替わり店長によるソーシャルバーPORTO

PORTOは、「いつでも安心して帰ってこられる」「価値のあるつながりが生まれる」ことを目指したソーシャルバーです。月に一度、異なる職業やバックグラウンドを持つ日替わり店長が登場し、それぞれの個性や価値観を活かした場づくりを行います。来場者は単なる客ではなく、店長との対話を通じてコミュニティの一員となり、新たなつながりを築くことができます。

ソーシャルバー PORTO

●クリエイターと地域をつなぐカフェ&ギャラリーmuun

広尾にあるmuunは、元畳工場をリノベーションして誕生したカフェ&ギャラリー。
ここでは、クリエイターが日替わりで出店したり、月に一度フリーマーケットが開催されたりするなど、クリエイターとファン、地域の人々が自然に交わる場を提供しています。muunは「東京で最もクリエイターが表現しやすい場」を目指し、単なる商業スペースではなく、共創を促進するコミュニティ空間として機能しています。

instagramより

2. クリエイター支援と新たな出会いの場

また、ポップアップイベントは、新しい才能やブランドを発掘し、発信する機会としても機能します。例えば、POPAPが手掛ける「hello,popup」シリーズは、テーマごとにスモールブランドやアーティストを集めたポップアップイベントです。毎回異なるクリエイターが参加し、来場者との直接的な対話を通じてブランドの価値やストーリーを伝えています。来場者にとっても、新たなクリエイターとの出会いや、ブランドの成り立ちを深く理解する機会となり、単なる買い物以上の意味を持つ体験が生まれています。

以下に過去の「hello,popup」の一例をご紹介します。

hello,popup vol.23『Lupinus』

『 Lupinus 』
毎日幸せに満ち溢れていてほしい
花びらが重なりあいながら咲くルピナスのように
私とあなたの幸せは共に咲く

hello,popupでは、4月29日（月・祝）に 1日限りのポップアップイベント『Lupinus』を開催しました。ルピナスの花言葉のでもある「いつも幸せ」をテーマに、友人や家族など周りの人と幸せを共に感じるきっかけとなるイベントを目指し、忙しなく過ぎた4月を振り返ったり、迎える5月の過ごしかたを考えてみたりと落ち着いた休日をお楽しみいただくことができました。

出店者はPOPAPが応援するFEATURE BRAND

全国のクリエイターがつながるZINEの展示

PARK GALLERY presents「COLLECTIVE」

東京・末広町にあるPARK GALLERYでは、全国のクリエイターによるZINEを公募し、展示・販売するエキシビジョン『COLLECTIVE 2021』を開催しました。このイベントは、作り手にとっては発表の場であり、来場者にとっては多様な価値観やクリエイティブに触れる機会となります。ZINEという小さなメディアを通じて、クリエイター同士や鑑賞者との新たなつながりが生まれる場となっており、まさに「つながり消費」の象徴的な事例です。

ポップアップが生み出す持続的なつながり

ポップアップは、単なる短期的な販売イベントではなく、共感を生み出し、持続可能な関係性を築く場へと進化しています。ブランドやクリエイターにとっては、単なる販売促進を超えて、ファンとの強いつながりを形成する手段となります。また、来場者にとっても、新たな価値観やコミュニティと出会う貴重な機会となるでしょう。

これからのポップアップは、単発のイベントではなく、継続的なコミュニティ形成の場としての役割を果たしていくことが求められます。そのためにも、ブランドやクリエイターは、生活者との関係性を重視し、共創の場を提供していくことが重要です。

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