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「生きることは、感謝をすること」ハーバル ドリンク ブランド『Verseau』:村田美沙

BRAND INTERVIEW

POPAPが注目するブランドを取り上げるFEATURE企画として、ハーバルドリンクブランド『Verseau』を立ち上げた村田美沙さんに、ブランド立ち上げの経緯と、これからの展望を聞いてみました。

Verseau(ヴェルソー)はHerbal life stylistである 村田美沙が立ち上げた「植物療法の考えをベースとした新しいライフスタイル」を提案するブランドです。アイコニック商品の「ハーバルドリンク」は日本各地のハーブ畑を訪ね歩きできあがりました。ハーブの概念を変える新しいドリンクカテゴリーです。



ものづくりに憧れていた


村田美沙さんの出身は愛知県の常滑市。日本六古窯の一つ常滑焼の産地として有名な街で育った村田さんには、幼少期から作り手が身近にありました。


「両親が製造業に携わっていたり、私の地元は陶磁器が盛んだったり、親戚もみんなものづくりをしてる人が多いから、影響されてる部分もあってものづくりに憧れていました」


高校時代は電車から1時間半をかけて市街の建築学科へ通っていた村田さん、「ひねくれてたから、地元の普通科の高校に興味がなくて。でも、自分だけのスキルみたいなのに憧れがあった。でも、好きな建築家がいた訳じゃなくて、自分で家が立てられたらかっこいいなくらいの感覚だった。高校生だな,,」


新卒では地元の繊維商社へ就職。大学時代にビームスでアルバイトをしたり、商学部で経済を学んだ上で、地元でファッションでものづくりに関わりはじめていました。そんな時に、見つけたのが繊維商社の仕事でした。



立ち止まって気づいたハーブの生命力


新卒から4年半会社を務める中で、村田さんは体調を崩して会社を退職しました。

「会社を辞めるまでに感じたことと、少し前からのハーブとの出会いがあって、自分が伝えたいことが形になってVerseauが生まれました。」

退社後にはハーブの本場、ヨーロッパの文化を体感したいと強く思い、約半年間ヨーロッパをバックパック一つで巡りました。

ヨーロッパから帰国後、村田さんと日本のハーブとの出会いは、青山の国連大学前で開催されるファーマーズマーケットとふりかえります。

「栃木のハーブ農家さんに2018年の12月にそこで出会って、思い切って1月に畑を訪問させてもらいました。那須高原なんだけど、雪も降っててすごい寒いし。全然畑に何もないし、来る時間違えたと思いましたね,,」


「でも、その畑の状態でも教えてくれることが沢山あって。その時期じゃないと感じれなかった土の温かさ。土を掘り返すと、微生物たちの働きでふかふかして、栄養豊富な自然栽培由来の土壌がそこにはありました。」


厳しい環境の中で強く根付くハーブたちと、そこに栽培に取り組むハーブ農家の姿には、強い生命力を伝える力があったと思います。


そこから、全国のハーブ農家を巡り始めた村田さん。ブランド立ち上げまで至った系は何が最後のひと押しだったのでしょうか。


「全国で集めたハーブを自分でブレンドして飲んでみたらめちゃくちゃ美味しくて。自分でもえーーーと思って。もともと美味しいのは知ってたけど、今まで飲んできたハーブティーの中で一番美味しんじゃないかとシンプルに思ったのがきっかけでした」


自分の周りの人たちにイベントベースで届けていって、だんだんとブランドが広がっていったVerseau。「最初は自分の周りだけじゃ狭いかなと思っていたけど、だんだんと共感をしてもらえる人が増えて。そこからちゃんと根をはることが大事なんじゃないかと今は思っています。」


ハーブの自由な楽しみ方を伝えたい

Verseauが軸におくプロダクトはハーバルドリンクです。「Verseau自体のコンセプトは、ハーブ・植物療法を主軸としてライフスタイルを提案していくこと。衣食住の中の食の部分で、ハーブとどう付き合っていくかを伝えています。」

ハーブティーとハーバルドリンクは何が違うのでしょうか。

「【ハーブティー=美味しくない】とか。【ハーブティー=特別なもの】という感覚のある人がいて。それを取っ払って、色んな人にハーブの飲み物を提案したくて、ハーバルドリンクという新しい価値提案に取り組んでいます。」

「ハーブもお湯で出す以外にも、水出しだったり、砂糖で煮詰めてシロップにしたり、お酒に漬けてカクテルにしたりができる。みんなはそれぞれ別物だと思っているけど、1つのプロダクトラインで提案ができると伝えたい。」

村田さんは、新型コロナウィルスの影響でお家で過ごす時間が長く伸びる中で、お家でコーヒーや紅茶に変わる一息つく時間を提供できることは、ハーバルドリンクを広く知ってもらう機会とも捉えています。

「お茶を飲む文化って深いと思っているけど、ハーバルドリンクは1日の中でルーティーン化されている飲み物にプラスして飲んでもらうのもいいし、ハーバルドリンク自体をそのルーティーンに取り込んでもらったりしてもいいかな。今までの飲み物と異なる役割を与えられのではないかと思っています。」

ECサイトをリリース

5/1にVerseauは万を辞してECサイトをリリースします。今回販売が開始されるのは、AkeruとKureruと題された2つのフレーバードリンクです。6種類のハーブがブレンドされ、ロットによってブレンドが代わり、季節感をさりげなく演出します。

今回のリリースにはどんな想いがあったのでしょうか。

「常に販売をしてる商品が無かった中で、下手にこれだけあるから売ろうとならず、納得したタイミングでECを始められて良かったと思っています。今までの1年ちょっとの間に出会った人が商品企画やプロダクトデザインをアドバイスをしてくれて。Verseauは1人のブランドだけど1人じゃない感じが強いです。

A k e r u / 2020.1st / 約 10 杯分

起き抜けの一杯や、日中のリフレッシュに。 はじまりのスイッチを入れてくれるブレン ドです。富士山のふもとに自生するスパイ シーなクロモジと、その土地で育ったミン トを入れて清涼感のある飲み心地に。満月 の夜に沖縄で摘まれた月桃の実と葉はやさ しい香りで、少しくせのある南国の空気を 醸します。ゆずはきゅっと爽やか。茎のほ うじ茶がまろやかな後味を残し、2煎目、3 煎目も飲み飽きません。


K u r e r u / 2020.1st / 約 10 杯分

一日の終わり、お仕事中に。緊張をほどい てくれるブレンドです。メインは那須高原 の雪の下で春を待ったカモミール。畑でも ふさふさと風にゆれて心地よい香りをふりまいていました。クロモジは、富士山のふ もとで育った若い木と、島根の離島のスパ イシーな原木の2種類を調合。タイムとス パイスを入れて香ばしく。浜松の太陽をたっぷり浴びたホーリーバジルが静かなエネル ギーを与えてくれます。 

村田さんにオススメの飲み方を聞いてみました。

「Akeruは香りを楽しんでもらうのには、やっぱりホットで飲んでもらうのが一番お勧めです。Kureruはゆずのフルーティーさだったり、ミントの爽やかさがあるので、夏には水出しで飲むと美味しい。Kureruはお酒に漬け込んで、夜のリラックスタイムに飲むのもお勧めです。」

AkeruとKureruは2つも表情と味わいが異なるので、是非2つを試してもらいたいと村田さんは語ります。「夜が明けて太陽の日を浴びる。日が暮れて真っ暗な夜を感じる。当たり前のようで、当たり前に感じずらいこの頃。大切な1日の流れを2つハーブと共に、自分の五感を通して感じてみて欲しいです。そうしたらきっと素直な自分に気づけるはず。心も楽になる。」

今後は季節ごとにシーズナルのブレンドやカウンセリング付きのオリジナルブレンドにも挑戦してみたいと村田さんは語ります。

生産者の物語を届ける



「一番伝えたいのは、自分が農家を訪れていて、安心安全でクオリティがいいものを届けていること。」と話す村田さんが大事にするのは、生産者のストーリーをもっと伝えていくことです。

「農家さんにいく時に自分のフィルムのカメラを持っていて、農家さんの様子や畑の風景を取っています。渋谷にあるレストランsta.でのポップアップイベントではその写真を展示をしたりしました。」

村田さんは、積極的にお客さんとのコミュニケーションを取ることの重要性を語ると同時に、商品の背景にある物語を伝えていく価値を大事にしてるのではないでしょうか。

「ハーブやハーバルドリンクが何かを伝えたいもあるけど、よりハーブが育ってる現場を商品を飲む人が感じるコンテンツが作れれば、よりハーブが浸透していくと思っています。」


Verseauのは衣食住全てのライフスタイルへの提案を射程にいれて、これから活動の幅をどう広げていくのか楽しみです。その時にはこれまでの建築やアパレルでの経験が全て繋がってくるのではないでしょうか。

生きることが好きだと語る村田さんに、最後に村田さんにとっての「生きる」とは?を聞いてみました。

「私はなんかすごく、感謝することをしてるなと思って。自分だけで完結することってないなと。人に感謝をするって大切とかそういうことじゃなくて、すごく人と関わっているという意識があるし。それが感謝する = 幸せみたいなところに私は繋がりがあると思っている。今回の商品はそれが物体になって現れたものに感じますね。」

そんな感謝のこもった商品を是非手にとって頂きたいです。

執筆:加藤翼